「aちゃんと同棲しようと思ってる。」
卒業式に向かう電車の中で母親に話した。
え?いつから?と返されて、何となくの日取りは決めていたけどそれより前に進むのが怖くてはぐらかした。
家を出ていくと思っていてと話すと「しばらく家にいてくれないと困るんだけど」と冷笑するように言った。
母はそう考えているだろうとわかっていても、はっきり伝えられると面を食らう。
その後その話は続けなかった。
ただもう何もかも考えるのを辞めたくなる、放棄したくなるほど絶望させられて、あと何回この絶望に付き合えばいいんだろうと暗澹とした。
目の前が真っ暗になった一日、一緒に居た恋人に申し訳なく思う。何かを諦めて何も話せなかったことを申し訳なく思う。
「話してくれないとわからないよ」と言いそれでも後ろからくっついて寝てくれた、暖かさに包まれて眠った。